要点:瞬低保護装置の容量はどう計算するか?
瞬低保護装置の容量の計算方法:1. 瞬低でリセットする制御回路の負荷を洗い出す、2. その回路の運転電流を実測する、3. kVA に換算する(単相は電圧 × 電流 ÷ 1000、三相は √3 × 電圧 × 電流 ÷ 1000)、4. 余裕を見込み突入電流を確認する、5. 次の標準容量を選び、補償時間が十分か確認する。100 kVA の装置でも、制御回路は通常数 kVA で済みます。
なぜ装置全体の容量で買わないのか?
瞬低で装置が止まるのは、多くの場合、大電力の設備が耐えられないからではなく、制御系がリセットするからです。ポンプ・ヒーター・モーターは回転の慣性や熱容量で 0.1 秒の瞬低を乗り切れます。本当に守るべきなのは PLC・産業用 PC・ロボットコントローラ・制御電源・電磁接触器・EMO 回路で、これらを合計した負荷は通常、装置全体のごく一部です。装置全体の容量で買うのは、もともと耐えられる設備を守るために大金を払うことになります。
瞬低保護装置の容量計算の 5 ステップ
守るべき負荷を洗い出す
配電図から制御回路を特定します:PLC、IPC、タッチパネル、ロボットとサーボの「制御電源」(モーター動力は含まない)、制御用電源ユニット、接触器とリレーのコイル、EMO 回路。つなぐべきか迷う設備は、過去に瞬低で止まったことがあるかを確認します。
運転電流を測る
最も正確なのは、クランプメーターで制御変圧器の二次側か制御回路の主開閉器で実電流を測り、通常運転中の最大値を取る方法です。銘板の数値を合計するだけだと通常は過大評価になりますが、測定できない場合は銘板の合計が安全側の方法です。
kVA に換算する
単相:kVA = 電圧 × 電流 ÷ 1000。三相:kVA = √3 × 線間電圧 × 電流 ÷ 1000。仕様にワット数(W)しかない場合は、力率で割って VA にします。力率がわからないときは電流を実測し、ワット数をそのまま VA としないでください。
余裕を見込み、突入電流を確認する
多くの電源機器の選定では、負荷を定格容量の 80% 以下に収めるのが慣例で、実際の余裕は現地評価によります。突入電流にも注意が必要です。接触器コイルの吸引時や電源ユニットの起動時の突入電流は、一時的に定格を超えることがあります。本記事で参考にした瞬低保護装置の例では、出力が定格電流の 150% を超えると自動で出力を遮断します。
標準容量を選び、補償時間を確認する
計算結果を下回らない次の標準容量を選びます。本記事で参考にした機種の例では、単相は 850 VA・1・2・3・5・10 kVA、三相は 5~200 kVA。定格負荷での補償は 850 VA と 1 kVA 機が 2 秒、その他の機種が 3 秒です。より長い補償時間が必要なら、上の容量を選びます。
計算例
例 1:単相 220 V の制御回路、測定値 3.2 A
| ステップ | 計算式 | 結果 |
|---|---|---|
| kVA に換算 | 220 V × 3.2 A ÷ 1000 | 0.70 kVA |
| 余裕を見込む(負荷 ≤ 80%) | 0.70 ÷ 0.8 | 0.88 kVA |
| 標準容量を選ぶ | 0.88 kVA を下回らない次のクラス | 1 kVA(補償 2 秒) |
| 3 秒の補償が必要なら | 1 つ上のクラス | 2 kVA(補償 3 秒) |
例 2:三相 380 V の生産ライン制御盤、測定値 20 A
| ステップ | 計算式 | 結果 |
|---|---|---|
| kVA に換算 | √3 × 380 V × 20 A ÷ 1000 | 13.2 kVA |
| 余裕を見込む(負荷 ≤ 80%) | 13.2 ÷ 0.8 | 16.5 kVA |
| 標準容量を選ぶ | 16.5 kVA を下回らない次のクラス | 20 kVA(補償 3 秒) |
例の数字は計算方法の説明用です。実際の容量は装置の配線・突入電流・接続方法をもとに現地で評価する必要があります。製品ページのクイック選定ツールに負荷を入力して直接換算することもできます。
容量計算でよくある 5 つのミス
- 装置全体の容量で買う→リセットする制御回路だけを計算する
- モーターやヒーターの動力もつなぐ→動力負荷は慣性で乗り切るため、元の電源のまま
- ワット数(W)を VA とみなす→力率で割るか、電流を直接測る
- 突入電流を無視する→突入電流で過負荷保護が働かないか確認する
- 容量だけ見て補償時間を見ない→小容量機は補償時間が短い場合がある
よくある質問
100 kVA の装置には、どれくらいの瞬低保護装置が必要ですか?
通常は数 kVA で十分です。瞬低保護装置はリセットする制御回路だけを守り、ポンプ・ヒーター・モーターは慣性で乗り切るため元の電源のままです。実際の容量は制御回路の運転電流を測って換算します。たとえばコンプレッサーで制御ユニットだけにつなぐなら 850 VA で十分です。
瞬低保護装置の容量はどう kVA に換算しますか?
単相の kVA は電圧 × 電流 ÷ 1000、三相の kVA は √3 × 線間電圧 × 電流 ÷ 1000 です。たとえば三相 380 V・20 A なら約 13.2 kVA です。
容量の余裕はどれくらい見込めばよいですか?
多くの電源機器の選定では、負荷を定格容量の 80% 以下に収めるのが慣例です。実際の余裕は突入電流の大きさや将来の増設の有無によって、現地評価で決めます。
容量が小さすぎるとどうなりますか?
負荷が定格を超えると補償時間が足りなくなる可能性があり、突入電流が過負荷保護の閾値を超えると補償装置が出力を遮断して、守るはずの設備がかえって給電を失います。ですから、ぎりぎりの容量ではなく、測定値に余裕を見込んで選定してください。